院長からの処方箋Letter

インフルエンザワクチンについて

2020.09.23

先日からインフルエンザワクチンの問い合わせが多くなっております。
マスコミなどで今年のインフルエンザワクチンは早めに接種するようにと報じているのが原因のようです。
果たして本当に早めに打つほうが良いのでしょうか。

 

結論から言いますと、早く打ちすぎることで効果が早めになくなるリスクがあります。
ワクチン接種後2週間程度で抗体ができますが、持続期間は4カ月程度なのです。
10月上旬にワクチン接種を行うと3月には抗体が消失するため、3月にインフルエンザに感染するリスクが生じます。
今年は2月からインフルエンザ感染がありませんでしたが、例年は4月ごろまで感染が持続することが多いのです。
理想的には11月中旬ごろに接種を行い、3月いっぱいまで抗体を持っていると安心です。

 

なぜワクチンを早く打つことが話題となっているのでしょうか。
理由の一つは新型コロナウイルスを懸念してのことが考えられます。
インフルエンザに感染して発熱した場合に、新型コロナウイルスと区別がつきにくいため少なくともインフルエンザだけでも予防しようということでしょう。
しかし、現在インフルエンザは全く流行っていません。ワクチン接種を行っても区別がつくわけでもありません。
結局医学的に考えれば現在早めのインフルエンザワクチン接種は有益ではありません。

 

理由のもう一つはインフルエンザワクチンが不足するのではとの懸念です。
しかしインフルエンザワクチンは通常通り生産されており、必要な人に行きわたる量が確保されています。
ただし、以前のトイレットペーパー騒動のように、一気に需要がたかまると一時的に供給が間に合わなくなります。
個人個人が全体の供給量に見合った接種計画を立てることで、そうした事態は容易に回避できます。
こうした点からも早めの接種の希望者が多くなりすぎることは決して良いことではありません。

 

結局いつまで抗体を持っていることが大切なのかを考えて、各人の接種時期を検討することが大切だと思います。
例年通りの予定でインフルエンザワクチン接種を受けることが最も良いと思います。

 

尚、当院では101日からインフルエンザワクチン接種の予約を開始する予定です。
実際の接種は1020日からとなります。
クリニックにワクチンが届き、予約いただいた方全員に接種できることを前提に余裕を持った予定を組んでおります。

 

マスコミ報道などにより誤解から予約を急ぐ方もいますが、医学的に適切な判断から効果的な接種時期をご検討いただきたいと思います。