糖尿病の治療Diabetes

糖尿病とは

糖尿病とは

糖尿病は、日本人の約950万人が有病者であり、予備軍を含めると約2,050万人が罹患している国民的生活習慣病です。
糖尿病が恐ろしいのは、全く自覚症状が無いままに病状が進行して、5年から10年という長い時間をかけて合併症を伴い、自覚症状が出現したときには既に治療困難な状態に至っていることがあることなのです。
糖尿病に多く見られる3大合併症について簡単に説明します。

〈糖尿病に多く見られる3大合併症〉
糖尿病性神経障害(5年程度で出現)

左右対称に手足のしびれや冷感、下肢の刺すような痛みなどが出現します。また自律神経障害により、立ちくらみ、便秘症、排尿障害などを伴います。特に物を触っても感じなくなり、痛みや熱さが分からなくなると足に火傷や怪我をしやすくなり、最悪の場合には足を切断することもありえます。

糖尿病網膜症(7年程度で出現)

高い血糖により血管の細胞が弱くなり、細い血管が密集している網膜から小さな出血(点状出血)がおき、蛋白や脂質が沈着するようになります(単純性網膜症)。さらに進行すると、網膜に新しい血管が出現(増殖性網膜症)し、その血管から大きな出血(硝子体出血)が起きて突然目の前が真っ暗になります。適切な処置が行われなければ、失明に至ります。糖尿病網膜症は緑内障に次いで、成人失明の原因の第2位です。

糖尿病性腎症(10年程度で出現)

まず、腎臓の細い血管が障害を受けて微量アルブミンが尿中に出現し(早期腎症)、続いて蛋白尿が出てきます(顕性腎症)。蛋白漏出が多くなると、手足がむくみ始めてようやく症状として自覚されますが、その時点では治療は困難となることが多いのです。腎機能が低下すると、毒素を尿中に排出できなくなり倦怠感や易疲労感が強くなります(尿毒症)。尿量が減少し、血中クレアチニン値が上昇すると人工透析に至ります。人工透析導入原因の第1位は糖尿病性腎症です。

すなわち三大合併症が進行すれば、それぞれ最悪の場合には足の切断、失明、人工透析などに至ることもあり、日常生活に大きな支障をきたすことになるのです。また、糖尿病と診断された方は常に全身状態を把握することも大切です。なぜなら糖尿病は高脂血症、高血圧、肥満などを併発しやすく、それぞれ1つに該当するごとに脳梗塞や心筋梗塞などでの死亡率が2倍ずつ上昇すると言われているからです。
そのため、生活習慣病は短期的な治療よりも、長期コントロールを定期的に行うことが必要となるのです。
さらに糖尿病の方は風邪や膀胱炎などの感染症にかかりやすく、かつ治りが悪いことが多いため注意深い観察が必要です。
一方で難治性の糖尿病や高血圧の中には時に内分泌疾患(クッシング症候群、褐色細胞腫、先端巨大症など)が原因である場合もあり、内分泌代謝および内科全般的な検索も必要です。

糖尿病を改善するために

当院では、患者さん自身が定期的に長期コントロールを続けやすいように、一人一人の生活に適した治療方法を相談しながら選択していきます。また、日常生活面からの支援を行うために、糖尿病教室も定期的に開きますので、お気軽にご参加下さい。