<板橋区成増>内科・糖尿病・甲状腺TEL.03-3977-8222
近年「甲状腺」の病気が知られるようになってきましたが、そもそも甲状腺についてよく知らないという方が多いのではないでしょうか。
甲状腺とは甲状腺ホルモンを作る内分泌器官のひとつで、蝶々のような形をしており、喉仏と鎖骨の間にあります。
正常な状態だと、触ってもわかりませんが、甲状腺が腫れている場合には触診でわかります。
甲状腺の病気を「甲状腺疾患」といいますが、日本には「甲状腺疾患」は非常に多く、約200人に1人は治療が必要とされています。
特に20~50代の女性に多くみられます。
甲状腺は「甲状腺ホルモン」というホルモンを分泌(作る)する器官です。「甲状腺ホルモン」とは身体の様々な機能を調整し、全身の代謝(コレステロール、筋肉、骨、肝臓など)や、交感神経作用(動悸、発汗、手の震えなど)に非常に重要な作用があります。
そのため「甲状腺ホルモン」が増えすぎても、少なすぎても身体の機能へ影響を及ぼすのです。これを甲状腺機能異常症と言います。甲状腺機能異常症には「甲状腺ホルモン」が少なくなる 「甲状腺機能低下症」、過剰に増える「甲状腺機能亢進症」とがあります。
橋本病が代表的な疾患であり、体のだるさ、むくみ、抑うつ気分、便秘症、手足の筋肉のつりなどの症状を伴います。
しかし軽度の低下症では症状が出ないこともあります。その他、高コレステロール血症、徐脈、心不全などで発見される場合もあります。
甲状腺ホルモン(チラーヂンS)の内服補充を行います。
バセドウ病が代表的な疾患であり、動悸、発汗、体重減少、手足のふるえ、下痢症などの症状を伴います。その他、眼球突出や心房細動、低コレステロール血症、ALP値の上昇などで発見される場合もあります。
※バセドウ病でない場合(無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎など)を正確に診断することが最も重要であり、専門的判断が要求されます。
バセドウ病の場合には、治療方法が3つ(薬物治療、アイソトープ治療、手術)あるためその選択を行うことになります。
(バセドウ病の治療方法)
バセドウ病以外の場合は病因を診断した上で適切な対応が必要です。
甲状腺は海産物に多く含まれるヨードの影響を受けるため、日本人の約4~5人に1人の割合で甲状腺に何らかの「できもの」ができます。その多くは「結節」と呼ばれる良性の過形成ですが、「腫瘍」の場合には良悪性の鑑別が必要となります。
腫瘍が小さな場合には自覚症状はなく、頸動脈エコー検査の際に偶然見つかる場合がほとんどです。
しかし腫瘍が大きな場合には首の腫れとして指摘され、嗄声、喉の違和感などの自覚症状が出現することもあります。
甲状腺に特異的な腫瘍マーカー(サイログロブリンなど)を採血し、超音波エコー検査で腫瘍の大きさや血流の程度、辺縁の様子、周囲への浸潤や頚部リンパ節腫脹の有無など頚部全体を詳しく調べます。
腫瘍マーカーが高値の場合、あるいは超音波エコー検査所見で良性と判断しきれない場合には、良悪性の確定診断のために穿刺細胞診を行います。
具体的には甲状腺に細い針を刺して細胞を吸引し、顕微鏡でその細胞の「顔つき」をみて病理学的診断を行います。
良性の場合には定期的な経過観察を行うことで十分です。
悪性の場合には手術による摘出が治療の第一選択となりますが、患者さんの希望をお聞きしながら、状況に応じて相談させていただきます。
(甲状腺癌の治療方法)
妊娠を希望される方は、事前の甲状腺の検査をお勧めしています。(東京都の場合は検査が必須です)
妊娠中には、一時的に甲状腺機能が亢進する場合があり、程度によっては治療が必要となります。
橋本病の抗体がある場合は出産後に治療が必要となる場合もあります。
甲状腺疾患や治療についてわかりやすく動画で解説いたします。