院長からの処方箋Letter

新型コロナウイルスについて

2020.02.26

本日政府から今後2週間、国内のスポーツ・文化イベントの自粛要請が発表されました。
感染拡大をいかに遅らせて収束させるかが大切な時期との判断です。
現実としては自分自身が感染予防し、感染したかも知れないときに拡大を抑える行動が重要です。


【1】感染予防について

現在マスクが不足していますが、ガーゼを使った手作りマスクでもある程度の飛沫感染は予防可能です。
実際に市販のマスクでは確実な感染予防はできないので、一つの手段だと考えられます。
うがいを行ったほうが除菌効果はありますが、頻回に行う必要があります。
うがいの代わりにアメやガムで唾液を出し続けたり、少量の飲水をこまめに取るなどの方法があります。
手洗いも除菌薬が望ましく、石鹸はあまり効果的ではありません。
除菌薬なしでも流水で15秒程度しっかりと手首から先を洗い流すとかなり除菌できます。
感染は口や鼻以外に目からもおきますので、手で顔を触らず、目をこすらないことも予防になります。
また人込みなどでは他人の咳を浴びないようにすることも大切です。


【2】感染したかも知れない時は

現在4日以上続く37.5度以上の発熱及び咳などの呼吸器症状がひとつの目安とされています。
各地域の保健所や厚労省に相談窓口がありますので、検査が必要がどうか電話で相談することが可能です。
疑わしい症例ではPCR検査を受けて感染の有無を確認することになります。
症状が重症の場合には感染対策可能な病院での入院加療が必要になります。
今まで分かっていることは、感染しても発症して重症化する確率が高くないことです。
通常の感冒様症状程度であれば自宅で安静に過ごして治すという選択が可能ということです。
医療機関に受診してもウイルスに対する特効薬がない現状、通常の感冒薬で経過を観るしかありません。
一方で医療機関で別の感染症を混合感染する危険や、体力のない高齢者に感染を拡大させる危険などがあります。
どうしても外出せざるを得ないときは人前での咳は飛沫が拡散しないようにハンカチなどを口にあてることが大切です。
自宅内でも家族感染を予防するために直接手にするものは共有しないなどの対策が必要です。


【3】総括として

今回の新型コロナウイルスの感染拡大の要因のひとつは潜伏期間が12日程度と長いことです。
感染しても症状が出るまでの12日間ですでに他人へ感染が広がっているのです。
そのため発症してから感染拡大を予防しても効果は部分的でしかないのです。
さらに発症後治癒までも14日程度に長いと考えられ、短期間で症状が良くなっても感染力が持続している可能性があります。
今後は症状がなくても、「知らないうちに既に感染している可能性があることを前提」に感染予防と感染拡大防止を行うべきだと考えます。
特に基礎疾患のある方や高齢者の感染予防は十二分に行うべきですし、重症化する前に迅速に適切な治療を行うべきです。
そのためにも自分自身が感染拡大の原因者とならないように、心掛けていただきたいと思います。