院長からの処方箋Letter

新型コロナウイルスについて-5-

2020.06.24

次第に新型コロナウイルスの報道が少なくなり、町の人影も以前の様子を取り戻しつつあります。
一方で新たな感染者はいまだに一定数出現しており、全く大丈夫とまでは言えない状況も続いています。
2波も予想される中どのような対応が望ましいのでしょうか。

 

【1】生活習慣病が悪くなった方
以前から指摘していたのですが、外出自粛により運動量が減ってしまい、生活習慣病が悪くなった方がとても多いです。
外出自粛といっても感染を避ける手段としての標語に過ぎません。
風通しの良い公園の散歩などの運動は自粛する必要のないものなのです。
特に糖尿病のデータは多くの方で悪くなっています。
さらに電話再診で薬の処方だけを行い検査を受けていなかった方は、途中経過が分からず突然悪化していることもありました。
一方でデータが良くなっていた方もいらっしゃいました。
いつもは仕事で帰りが遅く、付き合いの飲食が多かった方はテレワークで生活時間を自分で決められるようになりました。
こうして改善された方を見ると、やはり食事運動のコントロールがいかに大切かが良くわかります。
今回データが悪くなった方もこれからの季節でしっかりと改善を図ることが可能です。
暖かな気候を利用して、汗がにじむような持続的な散歩などでしっかりと運動量を増やすことが大切です。
生活習慣病はこれから10月ごろにかけて改善しやすくなります。
今年コロナウイルスで運動開始が出遅れた分を、これから取り戻すことがとても重要になります。

 

【2】今後の新型コロナウイルスとの付き合い方
前回第2波を3つに分けて説明しましたが、今後も年単位で感染対策を持続させる必要があると思います。
さらに新型コロナウイルスは現存する4種類の通常のコロナウイルスと同様に蔓延化する可能性が考えられます。
すると第2波以降も常在菌として身の回りにいる、風邪のウイルスの1つになると予想されます。
現在リモート、テレワーク、マスク着用などにて急速な感染拡大のが防止が図られている状態です。
しかしその後もウイルスが常在するようになれば、予防の継続が必要となります。
今後は現在の様な徹底した予防の必要性は薄らいでくると思いますが、うがいや手洗いなどの習慣は必要でしょう。
新型コロナウイルスの感染力は指定伝染病には及びませんので、しっかりと予防することで対応できます。
外来を行っている印象として、感染予防に過度に気を取られて、生活習慣病予防に気が回らない様子が伺えます。
一度損ねた健康を取り戻すのはとても大変なことです。
万が一新型コロナウイルスに感染しても生活習慣病のコントロールが良ければ重症化を防ぐことが可能となります。
病態を良くしておくことが感染対策でもあることを十分に理解していただきたいと思います。
特に生活習慣病が悪くなってしまった方は、今後感染しても重症化しない健康を取り戻すことを目標に、もう一度食事運動を見直して、治療に前向きに取り組む生活を過ごしていただきたいと思います。