院長からの処方箋Letter

新型コロナウイルスについて-6-

2020.07.27

【1】感染者の増加について
最近新たな感染者数の増加が認められており、心配されている方も多いと思います。
以前梅雨の時期に一旦感染が落ち着くと予想したのですが、残念ながら外れてしまいました。
一つの原因は新型コロナウイルスの潜伏期間の長さにあると思われます。
感染してから発症まで12日程度かかるため、その無症状の期間に他の人へ感染させてしまいます。
そしてヒトからヒトへの飛沫により感染をおこすので、雨や湿度による空気感染予防効果が少なかったのでしょう。
今後第2波が来る前に飛沫感染の予防をもう一度徹底する必要があると思います。

 

【2】重症化が少ないことについて
感染者数が増加する一方で死亡者数の増加はわずかであり、病状が重症化することは予防できていると思われます。
現在の感染者の多くは都市部の若年者層であるため、症状が軽症で済んでいるためと考えられます。
実際に新型コロナウイルスの死亡者の8割が70代以上ですので、高齢者への感染予防が重要となります。
特に80代以上では感染者の3割の方が重症化しており、十分な注意が必要です。

 

【3】今後の対策のポイント
若年者の感染にばかり目が行きがちですが、大切なのは高齢者の重症化予防であると認識することが重要です。
特に病院に入院中の高齢者や高齢者が多くを占める介護施設などへの感染予防対策は急務と言っていいでしょう。
今までもクラスターにより多くの方が救命しえませんでした。
感染者が病院や介護施設に近づかないような行政指導は必要ですが、個人の自由をどこまで制限できるかの問題もあります。
現実的には病院や介護施設の感染対策に対して行政の補助がもっとあって良いと思われます。
通常ですら人員不足から劣悪な職場環境となりやすい医療の現場に対して、自主的な感染予防を任せたままで良いはずがありません。
具体的には人材派遣などに登録されている医療関係者が、より適切に現場へ派遣されるような対策は行えないものでしょうか。
金銭的な補助ばかりが報道されていますが、人がいなければより良い対策が実施できないのが実情です。

 

以上、今後は高齢者への感染予防を重点的に行い、重症化を食い止めることをスローガンに、方策を練っていく必要があると思います。